21世紀を迎えても依然マッチョな人間社会とは異なり、自然界におけるメスは、圧倒的に強い立場を誇っている。オスは、メスに気に入られるために、難しい課題をクリアしなければいけない。ライバルとの直接対決で強さを見せつけ、文字通りメスを“勝ち取る”場合も多いが、鳥や虫の世界では“ハートを掴む”ためのアピールが重要になることも。

例えば、自慢のさえずりを聞かせる。高い音を響かせたり、低音を効かせたり。長い曲や、節回しが複雑だったりと、オリジナリティのある歌を歌えるオスが、モテる。色鮮やかなルックスが特徴のピーコックスパイダーの求愛は、ダンス。カラフルなお腹の模様を見せつけながら、長い手足を震わせる。気に入られないと、食べられてしまうリスクまであるというから、切実だ。

歌もダンスも、生き抜くために不可欠なものじゃない。でも、だからこそ、それがうまいとカッコよく見える。“余裕”というやつだ。ただ生きるより、楽しく生きたい。パートナーに選ぶなら、生きることを楽しむテクニックに長けているオスがいい。

自然界のメスたちが「このオスと一緒なら人生楽しそう」と思って選んでいるかどうかは、知らないが。