無性に食べたくなるものは、良い悪いはさておき、そのとき体が欲しているのだという説があリます。同じように、「いい匂い」と感じる香りは、そのときに自分が必要としているのかもしれません。ただ、香りの場合は、体よりも「心」が求めている気がします。

嗅覚はもっとも原始的な感覚で、五感の中で唯一、感情や本能行動を司る脳の大脳辺縁系にダイレクトに伝達されるのだとか。

嗅ぐたびに印象が違って感じられる。好きで手に入れたはずなのに、不快にさえ感じられる日がある。そんな経験はありませんか？
でも実は、香りとはそんな「揺れ」を前提に付き合うべきものなのではないかと思います。
天候、気持の高揚度、ストレスのかかり具合、ホルモンバランス。
日々移り変わる環境の下、私たちは毎日「同じ人」ではありません。
だから、感情で、本能で、香りを選ぶ。
それは、自分を「心地よい状態」にもっていくため。
精油など天然の香料にこだわったフレグランスが増えたおかげで、より「生物としての嗅覚」に訴える香りに出会える確率が上がったように感じます。

周囲から「あの人の香り」と認識されるような「自分のためのたった１つのフレグランス」を見つけたいと思っていた時期があります。もちろん、なりたい自分に近づくために香りを利用する日があってもいい。

でも第一に優先するのは、自分自身の本能。
そんな自分本位な香りの選び方が、気分です。