「誰それの生まれ変わり」「前世で夫婦／親子だった」etc.。そんな話を耳にするたび、どうにも納得いかない気分になります。
今までに聞いたエピソードを総合してみると、同じ人が同じ関係性ばかりを繰り返している印象を受けるから。強い縁のあった人と時代を超えてまた巡り会う。それはとてもロマンティックだけれど、「今の生」を容れ物として扱っている感じがしてしまうのは考えすぎでしょうか。
生まれ変わるとされる魂がどこでどんなふうに待機しているのかはわかりませんが、個人的には、生命を全うした後も生前のまま「私」であり続けるなんて正直面倒だなぁと思ってしまう。消滅なのか、分解なのか。一度「無」になって新しいスタートを切るほうが魅力的に感じます。

以前、ある霊能者さんが「魂は細かい粒子になって漂っている」と仰っているのを読んだことがあります。膨大な粒子がランダムにくっついて新しい魂になるのだと。宇宙空間の塵から新しい星が生まれるイメージがして、輪廻転生を信じていないながらも、しっくりきたのを覚えています。

自分を構成している粒子のひとつひとつは、いつか誰かだったのかもしれません。ひとつの魂を作るには何億個の粒子が必要なのでしょうね？　きっと、偉人も市井の人も善人も犯罪者もごちゃ混ぜのはず。クレオパトラの粒、ダ・ヴィンチの粒、モーツァルトの粒が混ざっているかもしれません。だから、憧れの人物を自分の前世だと考えればいいと思うんです。何代前かには、ひと粒くらいは入ってますよね、きっと。